新卒1年目のエンジニアが技術広報を立ち上げた話

個人から会社へ認知を繋げ、採用しやすくするために技術広報を立ち上げた新卒一年目(2018年当時)のエンジニアが初登壇しているときのようす

こんにちは!新卒2年目の小澤です。2019年4月から新たに新設されたエディトルチーム*1でフロントエンド開発をする傍ら、広報も兼任しています。 今回は私がエンジニア採用の現場で感じた課題を元に、技術広報を立ち上げるまでの経緯を紹介したいと思います。なお、立ち上げてから間もないので、広報活動においての施策や事例の紹介をする記事ではありません。

エンジニア採用の現場で感じたこと

私は新卒1年目の2018年10月~2019年3月まで、リクルーターとしてエンジニア採用の場に人事とペアで参加していました。 そこで感じたのは、弊社を知っている学生が極端に少ないことです。

2020年度のエンジニア採用は全体で約350人の学生と接触したのですが、弊社を知ってる学生は10%にも満たない程でした。 また、認知度のある企業より初手の印象が薄くなってしまう傾向があります。そのため、選考に進んでほしい学生に対して話の導入からリレーション形成までに時間がかかり、自社の魅力を伝えきれていないと感じていました。

認知度が低いことによる問題

すでに顕在化している問題

認知度が低いことによる問題は、人事稼働の圧迫です。 弊社のことを知らない学生は、応募してくることもないので学生が集まる採用の場にこちらから行かないといけません。 ただ、さきほども述べたように認知度のある企業と比べると弊社の第一印象はどうしても薄くなってしまうので、限られた時間のなかで学生の意向を高めて選考に進んでもらうのは容易なことではありません。

2020年の新卒採用では約350人のうち13%が初期接触から1次選考に進みましたが、人事の稼働の大半はこの取り組みに使われていました。 簡単に稼働を計算すると

  • 学生350人 × 1人あたり1時間 = 350時間
  • 350時間 ÷ 5か月(繁忙期の期間)= 月70時間

弊社の新卒採用担当の稼働は月160時間ほどなので、人事は月の大半を学生とのリレーション形成に使っていることになります。 新卒採用チームでは、学生1人ひとりの想いや本人の感じている課題と向き合うことを大切にしています。 認知度を上げ、初期接触段階でのリレーション形成をスムーズにすることで、より本質的な採用活動ができると感じました。

将来起こるであろう潜在的な問題

また、潜在的には『採用したい人材を採用したいときに採用できない』という問題も抱えています。 弊社は今年度で創業から14期目になりましたが、ウィルゲートショック*2を経てからは右肩上がりで事業が成長してきました。 事業成長が加速させるためには、「より採用したい人を採用したいときに採用できる」体制づくりが必要です。その体制を強化させるためには、認知度の向上が必要であり、会社の事業成長には欠かせない点だと感じています。 今後も事業が成長し続けていくと仮定すると、この差はもっと大きく開き上記のような問題が起きると考えられます。

なぜエンジニアからの認知度が低いのか

では、そもそもなぜエンジニアからの認知度が低いのでしょうか。弊社には広報チームが存在し、求人プラットフォームを使って社内情報の発信やセミナー・イベント開催など積極的に発信をしています。 事実、2019年卒の総合職の応募数は2020年卒の2倍以上でした。

ただ、広報チームは自社のサービスや組織風土など全社的なことは広めることはできますが、技術に特化した広報活動はできていませんでした。

もちろんエンジニア組織も広報的な活動をしています。弊社エンジニアが主体となって活動している「Hacker’s GATE(ハッカーズゲート)」という社内外で技術勉強会やLT会を開催する組織があります。

www.wantedly.com

今までの取り組みとしては、社内・社外LT会の開催、もくもく会の実施、他社とイベントを共催するなど、精力的に活動しています。 しかし、Hacker’s GATEは有志で運営されている組織であり、業務中に企画などをしているわけではないので、テックブログやイベント登壇、もくもく会などのプロジェクト間の連携を適切にできていない状態でした。 要するに、社外へ発信できる良質なコンテンツがあるのに、価値をユーザに訴求できていない状況が生まれてしまったのです。

tech.willgate.co.jp

willgate.connpass.com

上記のことからエンジニア採用の場で課題を感じ、会社に所属するエンジニアとしてなにかできないか考えた結果、自社の技術力や文化を発信して戦略的に活動していくために「技術広報」を立ち上げることになりました。 2019年4月から技術広報が立ち上がり、初期メンバーとして広報を兼任しています。

2019年度上期の施策

技術広報は採用したい人材を採用したいときに採用しやすくするのが最終的な目標になります。 元々ある広報チームやHacker’s GATE、人事と連携し、戦略的な活動をする基盤が整った状態です。 この記事を執筆している時点(2019年5月中旬)では、立ち上げから1か月半くらいしか経っていないので具体的な事例を共有することはできませんが、 2019年上期の動きと狙いをご紹介します。

現在技術広報は人事1人、エンジニア2人で構成されています。どうやって広報活動をしていくかというと、具体的には4つの施策にわけることができます。

  1. 私はフロントエンド、もう1人のエンジニア(おかしょい (@okashoi) | Twitter)はバックエンドの領域を中心に登壇する
  2. 個人のSNSで技術・自社の情報を発信する
  3. 登壇内容や自社の開発事例・ナレッジをブログで共有
  4. Hacker’s GATE主催でLTや勉強会などを開催・共催

1、2の狙いとして、まずは自社で「売り」にできる技術をピックアップし、その領域で各々登壇実績を重ねバイネーム(個人名)で名前を知ってもらうことが最初の目標です。 たとえば

<小澤が登壇するイベントに参加したAさん>

  1. 小澤っていうフロントエンドですごい人がいるぞ
  2. その人が所属している会社はどこなんだろう
  3. ウィルゲートという会社か
  4. どんな会社なんだろう

上記のように「認知を個人から会社につなげる」ことが狙いになります。当然ですが、登壇する本人が技術に疎いというのは致命的なので日々精進しなければなりません笑

ちなみに私の初登壇はPRLTという広報界隈では結構有名なLT会でした。100人以上の聴講者がいるなかでの発表は生きた心地がしませんでしたが、なんとかやり遂げました。

「技術ブランディング」を知る広報LT大会#19@Speee - connpass

初登壇で緊張している小澤のようす
初登壇で緊張している小澤のようす

3、4は単純に会社の名前を使って運用・運営されているものなので、毎回想定読者やターゲットを決めて集客します。 こちらも当然のことですが、ブログは読者の「不」を解決するために、イベントはHacker’s GATEの趣旨である「エンジニアの知的探究心を満たすため」に運用されなければいけません。 ただ、それらをハンドリングして適切に運用・運営すれば施策間のシナジーを最大化することができると考えているので、間に広報を挟んで連携する形をとっています。

技術広報のこれからの活動概要と認知を個人から会社につなげていく旨を説明している図
技術広報のこれからの活動概要と認知を個人から会社につなげていく

まとめ

今回は技術広報立ち上げの経緯を書きました。まだ立ち上がったばかりで右も左もわからない状況で、今推進している施策にまったく効果がなかった、ということもありえるのでトライアル&エラーで認知度を上げていきたいと思います。 また、1新卒の意見を尊重し、技術広報立ち上げに協力してくださった方たちとそれを受け入れてくれる環境に感謝しています。 これから爆速で活動していくので、応援よろしくお願いします!

*1:エディトルについてはこちらをご覧くださいnewspicks.com

*2:ウィルゲートショックについてはこちらをご覧くださいwww.willgate.co.jp