オファープロセスの見直しによるエンジニア中途採用の改善

この記事は「ウィルゲート Advent Calendar 2023」の 12 日目の記事です。

adventar.org

こんにちは、ウィルゲート開発室PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の大嶋です。 今回はウィルゲートにおけるエンジニア採用のうち、特に中途採用の取り組みをご紹介します。

はじめに

ウィルゲートではコロナ禍で一時ストップしていたエンジニア中途採用を昨2022年度から本格的に再開させ、活動してきました。主に私と開発室責任者の向平を中心として計画や選考を行い、幸い数名の方には入社していただけたものの、2022年度で目標としていた人数を下回っておりトータルではなかなか思うように成果が出せていませんでした。

特に課題として以下の2点が目立っていました。

  • 内定承諾率が低水準で3割を切ってしまっている
  • ダイレクトリクルーティング(スカウト)から応募や選考に繋がる事例がほぼなく、もっぱらエージェントからの紹介頼みになっている

今回はこういった問題にどのように向き合い、改善を図ってきたかをお話しします。

経緯と課題の分析

2022年度時点で中途採用に注力するにあたり、以下のような取り組みを行ってきました。 ここでは詳細は割愛しますが、それぞれ少なくはない時間や労力をかけています。

  • エンジニア評価制度の見直し
  • 候補者ペルソナの設定と求人票のアップデート
  • 採用媒体の選定やエージェントとのすり合わせ
  • 選考プロセスの変更(内定までの期間短縮化)
  • エンジニアブログの活性化
  • エンジニア向け組織紹介資料の作成

この結果、ある程度母集団となる候補者は紹介いただけるようになってきました。

一方で、前述のとおり選考を通過して内定には至るものの、その後の内定承諾や入社にはなかなか繋がらないといった問題が顕著になってきました。

事例をもとに分析をしていくと、各社の選考がオンライン中心になり面談や面接の際の移動の時間や労力がなくなったこともあってか、10社以上に応募し5社以上に内定をもらっているといった方も珍しくありませんでした。これだと単純計算で内定承諾率が3割を切るのも頷ける状態です。この状況に対して、母集団や試行回数を増やして「数撃ちゃ当たる」式のやり方では限界があると感じてきました。

オファープロセスの磨き込み

課題として内定承諾率をもっと高めるということを優先して対応しました。

弊社の中途採用の選考プロセスは基本的には以下のようになっており、2回の面接を通過すると内定となり、オファー面談にて条件面などをお伝えするという流れです。

  1. 書類選考
  2. 一次面接
  3. 二次(最終)面接
  4. オファー面談

※途中任意のタイミングで面談を挟むことはある

コロナ禍より前は最終面接までに相互理解を深め、内定時点では入社意向が高まっているケースが多かったと思いますが、

  • プロセスとしての面接回数を1回減らした
  • 基本的にリモートのコミュニケーションになり、選考過程でオフィス環境やメンバーの紹介などが難しくなった

といったことなどに起因してか、「内定はもらったけど決め手にかける」といった状態が起きやすくなっていると感じていました。

そこでオファー面談のプロセスを見直すことにしました。 従来は条件面など事務的なこと以外は口頭での説明や質疑としていましたが、これを改めて会社のことやメンバー、期待値、中期的なキャリアビジョンといったものを一人ひとり資料にまとめる形にしました。

オファー資料(目次とキャリアビジョン)

実ははじめのうちはこういった資料にまとめるのはかなり苦労しました。選考の際にきちんと深掘りをしたやり取りができていないと、表面的な評価や期待値に留まってしまうからです。しかし候補者のことを深く理解し、その方がどういった役割や環境にフィットし活躍いただけるかを真剣に考えることは、採用だけでなく組織のマネジメントを担う立場としても本質的に求められている部分だと改めて感じました。

結果的に、選考においてオファーの場が印象的だったという声が聞かれるようになったり、入社後も改めて資料を読み返していただけているようなケースもあり、効果的な運用になったと実感しています。

またオファー面談の後にはよりカジュアルなコミュニケーションの場として会食をセッティングしています。こちらは責任者や管理職のメンバー中心ではなく、年代や立場、スキルエリアなどが近い境遇の方に、かしこまらずに本音で話をしてもらうことを意識しています。

ダイレクトリクルーティングへの展開

もう一つの課題であったダイレクトリクルーティングに関しては、2023年度から「転職ドラフト」を導入し、スカウト運用を行うようにしました。

job-draft.jp

転職ドラフトでは運営側で候補者のレジュメをレビューしており、解像度の高い情報が担保されていると感じました。このため企業側もしっかりレジュメを見て情報を把握し、適切なオファーを送ることがより重要になってきます。

こういった特徴に対して、先のオファープロセスの磨き込みの際に候補者を深く理解し、自社へのフィット&ギャップやキャリアイメージをしていくといった経験が活き、スカウト(転職ドラフトでは想定年収と合わせてオファーする)に対して好意的な反応を多くいただくことができました。

転職ドラフトにおける候補者からの弊社への評価

ただ数百人規模の候補者のレジュメを一人二人で見てスカウトをするのはキャパシティ的にどうしても無理が出てきます。そこで開発組織の管理職クラスにもノウハウを共有した上で分担して総出の対応としました。それぞれ業務も忙しい中で「スカウト活動をする時間」として枠を押さえて、みんなで一斉に実施するような工夫をするなど協力してもらえたことも本当にありがたかったです。

転職ドラフトは期間を区切った活動となっており、その期間に会社側がどれだけ力を入れる次第でどれだけ候補者へアプローチできるかがが決まるため、エージェントからの紹介と違ってより主導的なコントロールがしやすいと感じています。

こうした実績から、ある程度の再現性をもった採用プロセスが構築できたという感触が得られました。

おわりに

一連の取り組みの結果、2023年度においては課題であった内定承諾率も5割以上*1までに回復し、毎月のように新しいメンバーがジョインする状況に現場のメンバーからも驚きの声が上がっていました。 目標としていた採用計画も早い段階で達成見込となったことから、現在はやや活動のペースを落としたほどです。

これらの経験から、すぐに成果には繋がらなくとも諦めずに改善活動を継続することの大事さを身にしみて感じたとともに、結果が出たときの大きな達成感が得られました。

とはいえ、採用はあくまでスタートには違いないので、縁あって入社いただけた方々の今後の活躍を大いに期待しています!

また今回は中途採用に絞ってお話ししてきましたが、ちょうど新卒採用の活動が本格化する時期にあたるため、軸足を移して力を入れています。 中途採用の経験を活かして、学生と企業双方にとって意義のある機会の提供と出会いに繋がればと思っています。

ウィルゲート Advent Calendar 2023」、明日は「恋するUX ~恋とはUXによる産物である~」です。 お楽しみに!

*1:リファラル(縁故)での入社は除いています