こちらは「ウィルゲート Advent Calendar 2019」4 日目の記事です。
昨日は池添による「リーダー1年目の僕がチーム開発において気をつけてきたこと」でした。
こんにちは。アーキテクト 兼 技術広報の岡田(@okashoi)です。
ウィルゲートでは中長期的なエンジニア採用強化を目的に今年の 4 月から「技術広報」という概念を取り入れています。 今回の記事では、技術広報のこれまでの活動を振り返ります。
「技術広報」という言葉を知ったきっかけ
2019 年の活動を振り返る前に、私が「技術広報」という言葉を知り、志したきっかけについて少しだけお話させてください。
中学校を卒業後に高専へと進路を進めた私は、それ以来ずっとエンジニアに囲まれて生きてきました。 その影響か「エンジニア」という生き方がとても好きで、「エンジニアには幸せになってほしい」という漠然とした想いを抱き続けていました。
大学編入、大学院進学を経て 2015 年にウィルゲートへ入社してからもその想いは変わらず「エンジニア組織を元気にしたい」「強いエンジニア組織をつくりたい」と口にしては勉強会を企画したり、情報発信をしたりしていました。
そんな折、会社の先輩が私に「こんなイベントあるけど、参加してみたら?」と勧めてくれました。 これが「技術広報」という言葉を知ったきっかけになります。
同じ頃に以下の記事も読みました。
もともと、私は自分自身に「発信できること」の強みを感じていました。 これらを受けて、その強みを「技術広報」という形で活かし、組織づくりに貢献できるのではないかと考えるようになりました。
それからおよそ 1 年半後、当時新卒 1 年目だったフロントエンドエンジニアの小澤(@rikipedia)が採用活動で課題を感じ、声を上げたことで正式に「技術広報」が立ち上がることになります。
「技術広報」としてはじめに決めたこと
2019 年 4 月、私と小澤が広報チームに兼任する形で「技術広報」が動き出しました。
はじめは「エンジニアのメンバーは広報をどう進めればいいか分からない」「広報のメンバーはエンジニアや技術のことは深く分からない」という状況だったのでお互いに意見を出し合いながら、以下の 3 つを決めました。
- どのような状態を得たいのか
- 何を伝えるのか
- どのようなアプローチを取るか
どのような状態を得たいのか
先述のとおり、技術広報立ち上げの動機は採用活動における知名度の問題でした。
小澤:採用の現場で課題を感じたのがきっかけです。以前、エンジニアの逆求人イベントに人事担当者とペアで参加して100名ほどの学生と面談したことがありました。そうしたら、100人のうち一人もウィルゲートを知っている学生がいなかったんです。
そのため「ウィルゲートのエンジニア組織が、より多くの人から認知されている」という状態を得たい、という意見が一致するのまでに時間はかかりませんでした。 エンジニアの採用が難しくなっている中で、ウィルゲートのファンを増やすことで採用活動全般にポジティブな影響を与えることがねらいです。
何を伝えたいのか
上記の状態を得るために伝えたいメッセージですが、当然嘘はつけません。
実態を鑑みつつ、広報チーム内で意見を出しながら決めたのが「ウィルゲートのエンジニア組織には技術/技術以外を問わず『挑戦できる文化・体制』がある」というメッセージでした。
ウィルゲートのエンジニア組織は当時の執行役員である鶴飼の下、数年を掛けて変革してきました。
リリースまでのフローやナレッジも整っていなくて、今でこそ当たり前のように利用されている、デプロイツールがようやく導入されたというタイミングでした。 エンジニアとしても、事業部の方針に沿って物をつくるだけという形だったので、開発室としての組織づくりや、戦略を立てた成長計画、組織として知見を集約するような習慣がなく、他の事業にも応用するといったことは少なかったと思います。*1
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一人一人が各セクションのスペシャリストとして、技術トレンドのキャッチアップに意欲的になったり、どうやったらウィルゲートの事業に取り入れられるのかということを主体的に考えて行動するようになったと思います。また現場メンバーからのボトムアップで組織が変わってきたり、チーム間の情報共有が頻繁に行われるようになったり、お互いのナレッジを生かしながら仕事をするようになってきた光景を見ると、大分変化したと感じています。*2
この変革の中で「声を上げた人に機会が与えられて、そのサポートを惜しまない」という文化が醸成されました。
たとえば技術広報それ自体が、当時新卒 1 年目だった小澤の声から立ち上がった「挑戦できる文化・体制」の事例でもあります。 こうした事例を取り上げながら「技術/技術以外を問わず『挑戦できる文化・体制』がある」というメッセージを伝えていこう、と決めました。
どんなアプローチを取るのか
では、上記のメッセージをどのように伝えればよいでしょうか?
メッセージを伝える対象はエンジニアなので、この議論ではエンジニアの私や小澤の意見を重視しながら進めました。 その結果「まずはエンジニア個人を知ってもらい、その個人に結びつけて会社も知ってもらう」というアプローチを取ることに決めました。
よほど有名なサービスなどがない限り、いきなり会社名だけを覚えてもらうのは難しいものです。 そこでまずは、勉強会やカンファレンスなどオフラインの場での登壇などを通じて個人を認知してもらいます。 そして「(有益な発信をしている)〇〇さんが所属しているのは、『ウィルゲート』という会社なんだ」という形でウィルゲートへの認知・興味へと繋げます。
このアプローチについては小澤が 4 月に開催された広報LT大会#19@Speee にて発表をしています。
発表内容はこちらの記事で詳しく説明しています。
技術広報としての活動
始動後、当面は KPI として
- ウィルゲートが主催するイベント開催回数
- 本ブログでの公開記事数
- 外部イベントでの登壇回数
を設定しており、上半期(2019 年 4 月〜 9 月)でそれぞれ
というペースで活動していました。
例えば、以下のような活動です。
他にも発信の文化を社内に浸透・活性化させるために、遠方のカンファレンス登壇に対して出張費を支給できるようにするなど、組織制度にも手を加えました。
半年間の活動を経て得た手ごたえ
特性上、成果が実を結ぶことを短期で実感しにくいために、不安を抱えていたメンバーもいたと思います。 ですが、これらの活動を続けて半年ほど経過したある日、エンジニア採用担当メンバーから「会った人から『最近、ウィルゲートさんの名前聞きますよね』という旨の言葉を聞くようになった」という話を聞きました。 このときに、はじめて「これまでやってきてよかったんだ」と明確に実感する/させることができました。
技術広報として活動をはじめて 5 ヶ月ほど経つけど、他の採用担当メンバーから「会った人から『最近、ウィルゲートさんの名前聞きますよね』という旨の言葉を聞くようになった」と言われて内心ガッツポーズしてる
— おかしょい@アーキテクト 兼 技術広報 (@okashoi) 2019年9月5日
またそれだけでなく、社内全体に発信の文化が根付いているのも感じています。 社外に向けた発信に挑戦するエンジニアが増えただけでなく、「技術広報」の取り組みを見てエンジニア組織以外にも「社外にも発信をして、コミュニティに貢献していこう」という動きが見られるようになりました。 正直、私が想定していなかった範囲にまで影響が及んでおり驚きました。 これもまた「やってよかった」とより強く思わせる出来事でした。
ウィルゲート技術広報のこれから
私と小澤が広報チームに兼任する形で活動していた「技術広報」は、この 10 月から「開発組織活性チーム」としてエンジニア組織の機能となりました。 開発組織活性チームではこれまで技術広報の活動を継続するだけでなく、
- ウィルゲートのエンジニア組織の新たな魅力づくり
- ウィルゲートで働くエンジニアの『will』の実現
などを通じて「ウィルゲートで働くエンジニアが自組織に誇りを持ち、他の人に勧めたくなっている状態」を目指しています。 「開発組織活性チーム」の活動については、これからも折に触れて発信していきます。 今後ともウィルゲートのエンジニア組織をよろしくおねがいします!
「ウィルゲート Advent Calendar 2019」、明日の記事はメディアチームで活躍中の山本による「キーキャップの本をチームで技術書典7に出した話。InDesignの話題中心。」です!