みなさんこんにちは。
リーン&グロースチームの石川です。
11 月から開発本部のチームが正式な組織として発足し、サグーワークスのチームと兼任でサービスのグロースを日々日々考えています。 今回はサグーワークスを通じて試みたこと、その手法と過程について紹介します。
サグーワークスとオンライン発注
今回グロースの対象となったのはサグーワークスのオンライン発注です。
2016 年 10 月に運用開始、2018 年 2 月にリニューアルの実施、今日に至るまで多くのお客様にご愛顧いただいております。
リニューアルに向けた動きに関しては以前の記事に書かせていただいたので、そちらも合わせて読んでいただければ幸いです。
グロースハックに向けた動き
先に述べさせていただいたオンライン発注ですが、時折小さな改修は行っていたものの、売り上げを伸ばすための施策や利便性向上、継続して利用したくなるような施策といったグロースハックをしてきませんでした。
開発としてグロースを考える組織が立ち上がったことで、新規利用者・リピーター拡大に向けた施策を打っていこうとなりました。とはいっても、私一人の力ではどうしようもありません。
そこで事業部の関係者とリーン&グロースのメンバー、サグーワークスのエンジニアの協力を得て、12 月からこの活動がスタートしました。
データ・ドリブン/デザインスタジオを取り入れた改善に向けた動き
ここでは、データ・ドリブンでアクションを検討したこと、コラボレーティブ・デザインに学ぶデザイン思考のアプローチについて取り上げたいと思います。
コラボレーティブ・デザインとは、プロダクトに関わる様々な役割を持つ人が、プロダクトの設計(デザイン)に全員が協力(コラボレーション)する形で関わる場を設けること、もしくはそのアプローチをコラボレーティブ・デザインと言います。
データ・ドリブンであること
今回の改善に向けて、まず過去のデータを整理することからスタートしました。
オンライン発注のリニューアル後から Google Analytics、データベースの情報、顧客の発注傾向や入力パターンが記録として残っていたため、それらを整理、改善に向けたボトルネックと市場の課題に目を向けました。
ここ直近の情報であれば、2019 年の 3 月に Google の検索エンジンのコアアップデート以降、3 か月に 1 回ペースで検索アルゴリズムの更新、11 月のアップデートでは特定のカテゴリ・キーワードの検索順位が大きく変動するといったことがありました。
サグーワークスを含め多くのウェブサービスも影響があったかと思います。 その影響をウィルゲートが自社開発したTACT SEO *1を通じて情報をキャッチ、分析し、競合サービス・ページと比較し集客改善も検討しました。
ここで見えてきた課題のいくつかを挙げると、
- 【TACT SEO】 検索順位の変化(下降)
- 【TACT SEO】 流入キーワードの新規把握
- 【TACT SEO】 SEO 対策の漏れの検知
- 【Google Analytics】 ユニークユーザの回遊状況の把握
- 【Google Analytics】 CVR 数と離脱ポイント などがわかりました。
この他にもサービス上の改善ポイントを整理、次で説明するデザインスタジオの議題にあげました。
コラボレーティブ・デザイン(デザインスタジオ)とプロトタイピング
データ・ドリブンの節で書いたことを事業部・開発側で分析し、特定のトピックを元に議論する場を設けました。
ここで参考にしたのは「LEAN UX」で書かれていた、デザインスタジオと呼ばれるミーティングです。
本に書かれている内容では、最大 10 名程度の関係者が同じ場所に集まり、特定の議題に関してファシリテータから現状の情報をシェア、議題について 2 人 1 組で議論します。
ファシリテータから事前情報をシェアする際、今回の議題に対するペルソナがどんなものなのか、ここでのデータ上の課題は何か、そこからユーザが何を思っているのか、どんな不満を抱えているのかという情報を掲示、数分の質疑応答を実施します。*2
その後にペアでの議論の内容と結論を参加者全員に共有、解決に向けたプロトタイプを作成する一連の流れを、ここではデザインスタジオと呼んでいます。
私たちが実施したのは本の書かれたものからアレンジし、開発側の関係者と事業部側の関係者をミーティングに招待。
全員の集まれる限られた時間でプロトタイプ作成を除いて実施する形で実施しました。
本中では 3 時間程度とありますが、私たちは全員で集まれたのは月曜日の 1 時間のみだったこともあり、プロトタイプは推進者を決めて作成。
Slack もしくは別日でフィードバックを実施、プロトタイプの修正を行います。プロトタイプを本実装を行い、追加の改良を施しリリースするという流れをとりました。
ここで議論したトピックは、データを元に上がってきた課題に優先度をつけ選択しスタートしました。今回実施したものは、
- 検索順位の変化 → TACT SEO で見つけた流入キーワードに関するコンテンツの用意
- 流入キーワードの新規把握 → 流入キーワードに応じたコンテンツの用意
- 発注フォームの離脱率が高いこと → 発注フォームの簡素化の実施
- LP の誤クリックを招く箇所を内部リンク化
- LP のファーストビューにフォームへの導線を用意
です。
この他にもデザインスタジオの参加者が見つけた課題の対応や施策を検討・実施を行いました。
「いい兆しが見えてきた!」ところで 1 か月目が終了
データの分析、自社サービスを活用、デザインスタジオと動いてきた中で、実施したいくつかの施策は芽を出し始めました。
発注フォームの改善としては、必須項目以外の項目を隠すなどで、フォームをコンパクトにする改修を実施しました。
改修の結果発注フォームが短く、入力項目を減らし、43.5%短いフォームに変貌を遂げました。
この発注フォームの改善や導線改善などは明らかな効果を発揮し、前月比で見たとき新規成約率が 200% 改善しました。
また SEO の改善等は結果がでるまでに時間がかかったものの、TACT-SEOの分析結果をもとに修正を行い、月末にかけて徐々に集客効果が見られてきました。
この取り組みで良かったことは、デザインスタジオ通じて関係者が集まれる場を設けられたことで、全員の共通理解を作り、全員で理解を深められたこと。
そして、全員が思っていることやアイデアをアウトプットする場にできたことです。
これまでは、事業部が考えた施策を実現するためのエンジニアという側面が社内では少なからずありました。
しかし、今回の取り組みでは、事業部・開発の垣根をなくし、共に議論し、プロダクトを考えて一緒に作っていける場になった、もしくはそのきっかけになりました。
また、グロースハックを実施した開発側のメンバーには初めてサグーワークスの開発に参加したメンバーもいました。
ですが彼らはデザインスタジオを通じて、サービス理解を進め、彼らなりの見え方や意見をアウトプットし、成長することができたと思います。
先日の向平の記事の通り、BizDevOps 的な取り組みになり、メンバーそれぞれの主体性や当事者意識を持った活動、また事業部との協力の上でできた素晴らしい取り組みになりました。
また、参加したメンバーからは、これまでの開発プロセスとは、異なり PM からの指示でものをつくるのではなく、みんなで考え、並列した作業ができることで心地よいスピード感、グロースハックしている楽しみがあったというコメントがありました。
引き続きこの取り組みを活かして、より良いサービスを作っていければと思います!