計画通り行かない不確実性の中で磨かれた開発組織 ― ウィルゲートVPoEが振り返る2025年 ―

この記事は「ウィルゲート Advent Calendar 2025」の25日目、最後の記事です。

adventar.org

こんにちは。ウィルゲートの VPoE をやっている zoe(@for__3)です。 今年もこの25日目を担当し、1年を振り返ります。


自律した開発組織をつくるまでの数年

ここ数年、ウィルゲートの開発組織では
「自律した組織をつくる」ことを一つの大きなテーマとして取り組んできました。 *1

  • マネージャーの育成
  • 権限委譲の設計
  • チームごとの判断が尊重される運営
  • 組織として学習し続ける文化づくり

こうした積み重ねによって、
各チームが自分たちで考え、判断し、前に進める状態は、
少しずつですが確実に形になってきたと感じています。

少なくとも、
「誰かの判断待ちで止まる組織」ではなくなりました。


それでも、組織は常に不確実性にさらされている

一方で、今年あらためて強く感じたのは、
どれだけ自律した組織をつくっても、不確実性がなくなるわけではない
という現実です。

人の異動や退任、外部環境の変化、事業やプロダクトを取り巻く状況の変化。

組織が大きくなり、関わる領域が広がるほど、
コントロールできない要素は確実に増えていきます。

自律した組織であることは、
「何も起きない」状態をつくることではなく、
何かが起きたときに、崩れずに対応できる状態をつくることなのだと、
今年の経験を通じて実感しました。


想定外が続いた1年だった

今年を振り返って、まず正直に思うのは
「想定外が多かった1年だった」ということです。

  • インフラMGRの退任という、組織上の大きな変化
  • 基幹システムの移行プロジェクトで起きた想定外の炎上
  • 新規プロダクト・アポトルが思うように伸びず、試行錯誤が続いた状況
  • 事業・プロダクトを取り巻く環境の変化

計画通りに進めることよりも、
起きてしまったことにどう向き合い、どう立て直すかを考えている時間の方が長い1年でした。


それでも、組織が止まらなかった理由

こうした状況が重なれば、
開発組織全体がどこかでなにかが止まってしまってもおかしくありません。

それでも今年、致命的に止まることなく前に進み続けることができました。

  • 一人ひとりの責任感ある行動力
  • チームや領域を越えた協力
  • 「誰かがやる」ではなく「自分たちで引き受ける」という判断
  • 状況に応じた人員の再配置

VPoEとして私自身も現場に入り、判断や調整に関わり続ける中で、 以前よりはるかに、
「この組織なら踏ん張れる」「任せられる」と感じられる場面が増えました。


事業と向き合うために、前に出た場面

今年は、私自身が前に出る判断をした場面もありました。

TACTのAIリライトLPでは、自らPMとしてプロジェクトを率い、
事業に対して直接的な価値を出すことを目的に動きました。

また、新規プロダクトについても、
短期・中期での事業貢献を見据えた方針策定に、
これまで以上に深く関与しました。

一方で、現場やマネージャーに任せられる判断が、
確実に増えていることも実感しています。

VPoEの役割は、常に前に立ち続けることではなく、
必要な局面で、必要な位置に立つことなのだと、
改めて感じた1年でした。


日常として積み上げてきた「当たり前」

想定外の出来事に対応できた背景には、
日々の運営の中で積み上げてきた「当たり前」があります。 *2

各ユニットごとに役割と責任が整理され、
それぞれが自分たちの判断で動ける体制を整えてきました。
その上で、必要な場面ではユニットを越えて協力できる関係性があり、
組織全体として無理のない連携が取れています。

また、各ユニットの運営をマネージャーに移譲することで、
日々の改善や意思決定が現場に近いところで回るようになりました。
結果として、状況に応じた調整や改善が継続的に行われ、
組織全体の生産性も着実に高まっています。

技術面では、技術本部からの提案や調査を通じて、
必要な技術投資や開発生産性向上の取り組みを日常的に取り入れてきました。
加えて、1on1を通じてマネージャーだけでなく各メンバーの成長も支援し、
チームを越えた協力やナレッジ共有が自然に行われる状態ができています。

こうした積み重ねがあったからこそ、
非常時にも組織として踏ん張ることができました。


技術本部の新設と、AI活用の定着

今年は、横断的な技術課題に向き合うために技術本部を新設しました。
その中でも大きなテーマの一つが、AIコーディングの導入と活用です。

単にツールを導入するのではなく、

  • 現場で無理なく使われること
  • 継続的に価値を出し続けられること

を重視し、運用面も含めた整備を進めてきました。

AI活用が一部の人だけのものではなく、
開発組織全体の選択肢として根付き始めたことは、
今年の大きな前進だと感じています。

今後もAI活用だけにとどまらず、各事業領域における技術的な価値貢献のために、今以上に存在感を発揮していってくれることを期待しています。


この1年を支えてくれた人たちへ

ここで、この1年を支えてくれた人たちへの感謝をまとめて伝えたいと思います。

  • アポトルが思うように伸びない中でも、悩みながら粘り強くプロダクトを支え続けてくれた田島さん・吉田さん
  • 基幹システムの移行プロジェクトで火消し役として入り、厳しい状況を前に進めてくれた大嶋さん・木下さん
  • コンテンツ系プロダクトの品質担保からクライアント調整まで担い、圧倒的な信頼を築いてくれた清水さん
  • TACTだけでなくCM領域にも担当を広げ、事業貢献とメンバー育成の両立に尽力してくれた佐々木さん
  • TACTの品質を裏側で支え続けてくれた水口さん・武田くん
  • インフラ未経験からスタートし、短期間で即戦力として活躍してくれた向平さん
  • 技術本部において、AIコーディングを現場に根付かせるために献身的に取り組んでくれた清水さん(2回目)

ここに名前を挙げた人だけでなく、
現場で踏ん張り、調整に回り、支え続けてくれたすべてのメンバーに感謝しています。


この1年で得たもの

今年、開発組織として得られたものは確実にあります。

  • 想定外に耐えられる組織としての耐久力
  • チーム間の信頼関係
  • 事業・経営と開発をつなぐ強くしなやかな結節点

「大変な1年だった」で終わらせるのではなく、
意味のある1年だった」と言える状態まで、きちんと積み上がりました。


来年に向けて

来年に向けて、開発組織として目指したい方向はより明確になっています。

これまでは主にプロダクトを中心に価値を届けてきましたが、今後はその軸をさらに広げ、
事業全体への貢献を強く意識した開発組織へと進化していきたいと考えています。

プロダクトを作るだけでなく、
事業の成長にどう効かせるのか、
会社全体にどれだけ大きな価値を生み出せるのか。

その問いに、開発組織として真正面から向き合い続けます。

今年積み上げた土台と、想定外を乗り越えてきた経験を活かし、
より大きな価値貢献ができる、強くてしなやかな組織を目指して、
開発組織一同、引き続き取り組んでいきます。


おわりに

最後に、開発組織のメンバーに向けて。

今年は困難な中でも一緒に粘り強く頑張っていただきありがとうございました。 困難をバネに来年は、もっともっと成長して面白いことをしていきましょう!!!

来年は午年です、一緒に楽しみながら爆速で前に進んでいきましょう。🐎🐎🐎 *3

*1:ここに至るまでの話に関してはこちら VPoEになってからの開発組織の1年を振り返る - WILLGATE TECH BLOG

*2:ウィルゲートの行動指針の一つ「当たり前に感謝し、アタリマエを疑う」を組織レベルで体現しているとも言えます。

*3:2026年の午年(丙午)は、火のエネルギーが重なるパワフルな年で、「前進」「飛躍」「物事がうまくいく」象徴とされ、大きなチャンスと活力に満ちた一年が期待されるそうです。