挑戦と成長の5年間:ウィルゲートで歩んだ私の道

この記事はウィルゲートアドベントカレンダー2024(24日目)の記事です。

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はじめに

皆さん、こんにちは。ウィルゲート プロダクト事業部 執行役員 向平です。今年で私がウィルゲートに入社してちょうど5年の月日が流れました。実は、前回のアドベントカレンダーの最後で述べたように、私はSaaS事業領域の事業責任者として新しい役割を担っています。

この5年間で、私がどのような目標を掲げ、何を成し遂げてきたのか。そして、なぜ現在SaaS事業領域の責任者としての役割を担っているのか。これまでの歩みを振り返りながら、これからの未来についても考えていきたいと思います。

ウィルゲートでの5年間の歩み

1年目(2019年): 未完成な組織への気づき

ウィルゲートに入社して最初に感じたのは、自社サービスを持つ開発組織として未完成であるという現実でした。 当時の組織は、要求されたものを納期通りに品質を担保して開発することだけを目標としており、その結果、余裕を持ったスケジュールを優先したため、開発スピードが遅くなっていました。 さらに、事業KPIと直接関係のない要求も多く、開発を通じて事業を成長させるという視点が欠けていると感じました。

私はこの状況を変えるべく、BizDevOpsというキーワードを掲げ、事業成長に貢献する開発組織を目指しました。(詳しくは2019年のアドベントカレンダーを参照ください)ビジネスと技術、そして運用をシームレスに繋ぐ考え方を根幹に据え、組織全体の変革に取り組みました。

また、この年にはエンジニアの責任者クラスに対してプロダクトマネジメントの基礎知識を学んでもらう取り組みも実施しました。これにより、開発チームが事業側の目線を理解し、よりビジネスに貢献するプロダクトを開発できる基盤を築きました。

2–3年目(2020–2021年): 組織文化の再構築

BizDevOpsを実現しようと意気込んでいましたが、この期間に訪れたのはコロナ禍という未曽有の試練でした。事業は大きく後退し、組織にも大きなダメージをもたらしました。また、リモートワークへの急速な移行は、様々な問題を引き起こしました。

このような状況の中で、私はGoogleが掲げる効果的なチームに必要な5つの因子に注目しました。この因子は次の通りです:

  1. 心理的安全性:チームメンバーが失敗を恐れずに発言や提案ができる環境。
  2. 信頼性:メンバーが互いに高い水準の成果を期待できる状態。
  3. 構造と明確さ:役割、目標、プロセスが明確に共有されていること。
  4. 仕事の意味:各メンバーが自分の仕事にやりがいを感じていること。
  5. 仕事の影響:自分の仕事がチームや会社にとって重要だと感じられること。

引用元: Google re:Work - ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る

これらを参考に、心理的安全性の向上を第一に、メンバー間の信頼を再構築することに注力しました。 また、LT会や勉強会の開催を通じて成長を支え合えるようにし、エンジニアの評価基準を明確化することで、求めるスキルなどの基準を明確にしました。

さらに、デザインスプリントの手法を取り入れ、エンジニアも含めた事業成長のための意見出しを促進。これにより、エンジニアリングチームがより主体的にプロダクトの方向性を議論できるようになりました。

これらの施策により、メンバー一人ひとりが自信を持って意見を述べられるようになり、チーム全体の活力が戻りました。

4年目(2022年): 挑戦を支援する環境作り

2022年は、組織が大きく成長する年となりました。エンジニア採用の強化やプロダクトマネジメント組織の立ち上げを通じて、技術的な基盤をより強固なものにしました。

以下に進めてきたことの一部を記します。

  1. ユーザー体験の設計:ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップで課題を明確化。
  2. 事業KPIの分解:受注率や解約率を分解し、先行指標のKPIやKDIに落とし込む。
  3. ユーザーインタビュー:製品改善や新機能開発のリアルなインサイトを得る。
  4. ユーザーテストの実施:新機能が期待に応えているかをプロトタイプで確認。
  5. 技術負債の削減:リファクタリングやテストコードの充実で開発スピードを向上。
  6. エンジニアの目標の再設定:納期や品質ではなく、開発した機能による事業KPI(プロダクト起因の失注率など)を設定。
  7. プロダクトマネージャーの育成:課題図書の推薦や、デザインスプリントなどのOJTで意思決定力を強化。

なお、今までは苦戦してきたエンジニアの中途採用において、成果を出せたのは、魅力あるエンジニア組織に成長できた証でもあると感じています。

一方で、いくつかの事業の縮小などの変化が起こり、エンジニアが活躍し成長できる環境が縮小していったため、エンジニアが活躍できる新しい場を模索していました。この取り組みは、現在の新規事業成功の礎となっています。

5年目(2023年–2024年): プロダクト事業部を発足

2024年4月、私たちは新規事業「アポトル」をリリースしました。 一時は撤退が議論されるほどの厳しい状況もありましたが、現在では当初計画を上回るペースで成長しています。

また、TACT SEOではAIを活用した記事作成機能を競合に先駆けてリリースし、堅調な成長を続けています。

これらの事業を統括する形でプロダクト事業部を発足し、私がその責任者を務めることになりました。 その目的は、より開発組織と営業組織が一体となって事業成長を実現するためです。

「アポトル」や「TACT」の取り組みでは、エンジニア、マーケ、営業、CSなどのチームが一致団結し、試行錯誤を繰り返してきました。その成果として、アポトルのチームはMVT(Most Valuable Team)を受賞することができました。 この受賞は、まさに当初に掲げたBizDevOpsを体現するものでした。

現在、私は事業戦略や組織運営を担いながらも、交流会に積極的に参加し、リード獲得や商談を自らこなしています。 顧客の声を直接聞くことで、事業の改善点や成長の可能性を日々探っています。 この役割を通じて、技術だけでなくビジネスの最前線に立つことの重要性を改めて実感しています。

なお、開発組織の運営からは、頼もしく成長をしてくれた部下に任せて離れています。

振り返り

この5年間、私が目指してきたのは、少しでも後進の成長を支えることでした。最初は自分の経験や知識を伝えられればと奮闘していましたが、共に苦難を乗り越える中で、次第に「彼らの未来を作る」使命感が芽生えてきました。

撤退が議論されるほどの新規事業の産みの苦しみも、この使命感が私の背中を押してくれました。また、これまでのキャリアで培った10以上もの新規事業の立ち上げ経験が、少しでも若い世代に伝わったのではないかと思っています。

今後の展望

少し時間がかかってしまいましたが、当初に掲げたBizDevOpsを実現でき始めている手応えを感じています。

しかし、本番はまだまだこれからです。もっともっと事業を拡大し、アポトルもTACTも市場を牽引していけるようなプロダクトや組織にして行きたいと思っています。

未来を見据えると、私たちが直面する課題や変化はさらに増えるでしょう。 しかし、それこそが、私たちが手に入れたかった成長のためのチャレンジ機会であり、それらを乗り越えるだけの力を身につけてこれたと思っています。

これからも、失敗を恐れずにチャレンジし続け、顧客とともに自らも成長できる環境をつくり続けること。それがウィルゲートの未来であり、私自身の目標でもあります。

おわりに

最後に、この5年間で私を支えてくれた全てのチームメンバーに感謝を申し上げます。 皆さんの力があったからこそ、私たちはここまで成長できました。

ウィルゲート Advent Calendar 2024」、翌日はzoeさんによる「 VPoEになってからの開発組織の1年を振り返る」です。ラストを飾るブログをお楽しみに。